AMBASSADOR/我妻 知幸
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アンバサバーおすすめの撮影ポイント

Fantastic light | 撮影日: 2020.02.09

私らしい撮り方と切り取り方で風景と向き合う


富良野・美瑛

 5年前から故郷の富良野と美瑛を中心に風景写真を撮っています。今年4月、これまで撮りためた中から作品6点を厳選し、美瑛町丘のまち交流館「ビ・エール」のギャラリーで開催された写真展「美瑛で繋がる写真の輪」に参加しました。私を含めアマチュア写真家10人が作品62点を展示した共同写真展は、おかげさまで好評を博し、同施設の月間観客動員数の最高記録を塗り変えたそうです。
 来年の開催計画も進んでいて、現在、共通テーマの「星空」の撮影に取り組んでいます。これまで私は星空撮影を苦手にしていましたが、最近、機材をより高機能のものに買い替えたこともあり、夜間撮影が非常に楽しくなりました。場所も美瑛や富良野にこだわらず、道内各地でロケハンを行い、見た瞬間「うぉー!」と歓声が上がるような「北海道らしい写真」に仕上げたいと張り切っています。
 「北海道らしい写真」は私の変わらないテーマの一つです。したがって厳しい冬季間の撮影も多くなります。その最たるものの一枚が、上富良野町で撮影したサンピラーです。サンピラーは低温、無風など、いくつかの条件下で発生します。私が撮影した当日の気温もマイナス25度という極寒。完全装備で臨みましたが、冷気が容赦なく浸透してきて、体を縛られたように痛くなる、北海道弁で言うところの「シバレ」を久しぶりに体感しました。
 その冬の撮影ポイントとしておすすめなのが、富良野市にある「鳥沼公園」です。私は上富良野のサンピラー撮影の帰り道はたいがい、そのまま鳥沼公園に寄ります。富良野駅から車で10分足らずの場所に位置する、原生林を自然のまま利用した静かな公園で、沼底から水が自然湧出しています。冬でも水面が凍結せず、多くの野鳥が訪れるオアシスになっています。
 私の目的は野鳥撮影ではなく、ある現象によって生じる風景を撮るためです。ある現象とはケアラシです。水面から立ち上る水蒸気が、冷たい空気に触れて発生する霧で、気象用語では蒸気霧と呼ばれているようです。このケアラシが、冷え込みの厳しい冬の朝、鳥沼でよく発生します。
 漂いながら上昇する霧は、沼の周囲に茂る樹木の枝に付着して、白い花が咲いたような霧氷になります。寒い日ほど白い花は大きく育ち、その隙間から太陽の光が線状に降り注ぎ、モノクロ画像のような風景になります。身近な場所にも隠された美しい風景が、まだたくさんあると思います。

朝靄の中で | 撮影日: 2021.09.26

Run |撮影日: 2021.03.13

冬の妖精 | 撮影日: 2020.01.18

雪山照らして | 撮影日: 2019.12.09

 富良野や美瑛を撮っている私は時折、前田真三さんの写真をどのように感じるか、と尋ねられることがあります。このエリアの美しさを発見し、日本全国に発信した風景写真の巨人を私は最近まで知らずにいました。東川町の文化ギャラリーで今春、前田真三さんの生誕100年を記念した写真展が開催されました。その写真展で初めて前田真三さんの写真を目にし、感動しました。
 写真とともに前田真三さんが語った生前の言葉を記したコメントペーパーも展示されていました。その中の一枚に記された「風景は撮り尽くされることがない。無限の撮り方、切り取り方がある」という言葉にも心打たれました。私はこの言葉を噛み締めながら、私らしい撮り方、切り取り方で、北海道の風景と向き合いたいと思います。

丘に描く | 撮影日: 2021.05.08

Light and shadow | 撮影日: 2020.03.14

AMBASSADOR Profile

我妻 知幸 / handle name:Tomoyukiaz


Instagramで見た絶景写真に感動し、自分でも撮りたいと思い一眼レフカメラを購入し風景写真を撮りはじめる。
地元である富良野や美瑛を中心に撮影。日の出夕方に限らず光のある写真を得意としている。

<賞歴>

北海道撮影ポイントランキング年間グランプリ展2020/優秀賞
Pashadelic 写真の力で北海道を応援したい/優秀賞
ローカルフォトコンテスト/最優秀賞、入賞多数。


<使用カメラ>NikonD7200、Nikon Z7Ⅱ