第5回北海道撮影ポイントランキング年間グランプリ展2022

<開催>2022年10月8日(土)・9日(日)/札幌駅前通地下歩行空間ドオリHIROBA
<主催>北海道撮影ポイントランキング製作委員会 
<後援>北海道、札幌市 
<特別後援>株式会社マテック・マテックグループ

<審査員>
菅 原 一 剛 (写真家)
下休場 千秋 (NPO法人 ウォークラボ札幌 代表理事/元北海道大学観光学高等研究センター教授)
福 島  晃 (デジタルカメラマガジン 編集部 編集長)

開催にあたって

「北海道撮影ポイントランキング年間グランプリ展」は、「北海道の自然の美しさや北海道の動物や植物の魅力を写真を通して広く内外に発信することで、素晴らしい北海道を発見すること」を目的として、2018年に初めて開催されて以来、本年で5回目の開催となります。
本年度の応募総数は3,167点にのぼり、その中から選定されここに展示された作品数は143点になります。さらに、展示作品の中から3名の審査委員による厳正な審査を経て、グランプリ1点、準グランプリ2点、優秀賞4点、入賞10点の計17点が受賞作品に選ばれました。いずれの作品も甲乙つけがたい力作ばかりですので、ゆっくりと時間をかけて鑑賞していただければと存じます。
本写真展の開催趣旨として、写真作品の制作者お一人おひとりが地域の「アンバサダー」として、地域において発見した新たな魅力や観光資源についての情報発信役や、さらには地域活性化を図る仕掛け人になっていただきたいとの願いがあります。すでに今年度4名の方々が第1期アンバサダーに就任されています。
近年のコロナ禍によって、写真撮影を始め、ハイキング、キャンピング、登山、サイクリング、自然観察など多様なアウトドア活動に親しむ人びとが増えています。「北海道撮影ポイントランキング」のインターネットサイト上では、どなたでも写真作品を投稿し鑑賞することができますので、健康的なアウトドア活動を楽しむとともに、本写真展の趣旨にご賛同いただき、是非とも積極的に北海道各地で撮影した美しい写真作品を投稿することによって未来のアンバサダーを目指していただければ幸いです。
最後になりましたが、深い情熱をもって撮影し素晴らしい作品を投稿していただいた皆様をはじめ、本写真展の開催にあたりご後援をいただきました北海道、札幌市、さらには特別ご後援の株式会社マテック・マテックグループをはじめとする全ての関係者の皆様に厚くお礼を申し上げます。

下休場 千秋

受賞作品

グランプリ 賞金300,000円

Whitefairy

<作者>masashi.oyanagi <撮影地>ハルニレの木

【選評】この写真の中にある、冬の大地に堂々と立つ樹木の姿は、この世界の大切なものを司る植物の精霊が宿っているかのごとく、神々しくぼくの目には映りました。おそらく朝であろう樹氷を湛えたその気配は、寒々しさよりもむしろ大きな生命感を感じることもできます。そんな何ものにも代えがたい瞬間に出合えるのも、写真の大きな喜びのひとつですよね。そしてそのすがたに、その世界にひたすらに真摯に向き合って撮影されたこの1枚は、本当にすてきな写真だと感じています。おそらく多くの方々が、この樹の前に立って、同じようにこの瞬間を見てみたいと思われるのではないでしょうか。もちろんぼくも、見てみたいです。グランプリ受賞、おめでとうございます。(菅原一剛)

準グランプリ 賞金100,000円

朝日の煌めき

<作者>たか <撮影地>北海道大学苫小牧研究林

【選評】ダイヤモンドダストが現われた北海道大学苫小牧研究林の中で、偶然に出合ったエゾシカの姿をとらえた作品です。冬の朝日を浴びて一瞬立ちどまったエゾシカが突然、目の前に現われたサンピラーをまるで眺めているようなこの作品には、北海道の森を舞台とするメルヘンの世界観が広がっています。作者の緻密な撮影技術と豊かな感受性によって、この作品は当初の撮影意図をも超越した自然現象の美しさと不思議さを物語る力を宿しています。(下休場千秋)

異業種交流

<作者>ほくと七星 <撮影地>十勝

【選評】北海道を代表するエゾフクロウとエゾリスの可愛らしい表情に思わず、笑みがこぼれました。「あそこから見る景色がきれいなんだよなぁ」とエゾリスが向かってみると、先約がいたというような物語を感じました。びっくりしたようでもあり、困惑したようでもあり、何とも言えぬ感じであるのが、この写真の魅了ですね。こうした場面に出くわすと写真を撮ることに夢中になってしまいますが、距離をおいて600mmの超望遠で撮られている作者の優しさも感じました。(福島晃)

優秀賞 賞金30,000円

Mysteries Morning

<作者>taki <撮影地>千望峠

【選評】厳冬期2月の朝、夏には多くの観光客でにぎわう上富良野町の「かみふらの八景」の1つ、千望峠付近で背後から朝日に照らし出された樹林と手前の明るく輝く雪原に現われたサンピラーを見事にとらえています。神々しさまでも感じることができる神秘的な冬の自然が見事に表現されています。優れた撮影技量と感性が示された作品です。(下休場千秋)

雨上がりの新緑のリフレクション

<作者>J-harada <撮影地>然別湖

【選評】新緑に包まれるようにして湖に建つ白く小さな家。あえてオーソドックスな日の丸構図にすることでシンプルな美しさを写真から感じます。この作品のポイントは30秒という長時間露光にしたこと。湖面の揺らぎが失われることで、この静謐感が生まれています。被写体に真っ直ぐに向き合うことの魅力を感じることができる作品です。(福島晃)

侘び寂び

<作者>Yusuke.A <撮影地>支笏湖

【選評】タイトルが示すように、まるで山水画のような美しい光景ですね。現代という慌ただしい時代の中で、変わらぬ悠久の時を感じることが出来るこの写真は、真摯にゆっくりと被写体と向き合った結果のみが生み出すことができる、写真というものの大きな魅力のひとつであると感じました。優秀賞、おめでとうございます。  (菅原一剛)

滝壺

<作者>shige <撮影地>美白扇の滝

【選評】しい滝を目の前にすると、どうしても全体を写したいと考えてしまうものです。その中にあって、作者は滝壺に流れ落ちる水の流れとしっとりと濡れた岩肌の質感にスポットを当てて大胆にクローズアップしています。構図とは技術ではなく、作者の視点を鑑賞者に伝えるためのものだとすれば、この構図は見事に功を奏しています。  (福島晃)

入賞 賞金10,000円