北海道撮影ポイントランキング年間グランプリ展2021

<開催>2021年10月22日(金)・23日(土)/札幌駅前通地下歩行空間ドオリHIROBA
<主催>北海道撮影ポイントランキング製作委員会 
<後援>北海道、札幌市 
<特別後援>株式会社マテック・マテックグループ

<審査員>
菅 原 一 剛 (写真家)
下休場 千秋 (NPO法人 ウォークラボ札幌 代表理事/元北海道大学観光学高等研究センター教授)
福 島  晃 (デジタルカメラマガジン 編集部 編集長)
髙 安 賢 一 (株式会社LCL 企画開発部長)

開催にあたって

北海道撮影ポイントランキング年間グランプリ展は、作品を投稿していただいた皆様の作品制作への深い情熱と、ご後援をいただきました北海道、札幌市、さらには特別ご後援の株式会社マテック・マテックグループをはじめとする方々のご尽力によりまして、今年で4回目を迎えることができました。本作品展の開催にあたり関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。
本年度の応募総数は3,343点にのぼり、その中から選定されここに展示された作品数は130点になります。さらに、展示作品の中から4名の審査委員による厳正な審査を経て力作揃いの受賞作品17点が選ばれました。
審査委員長の菅原一剛先生は常々、この写真展は素晴らしい写真作品の展示を通して、撮影者、地域住民、地域を訪れる観光者が交流できる機会の提供を意図したものであると述べられています。北海道の美しい風景を求めて地域を訪れる写真の撮影者は、地域の魅力を発見しその情報を発信する地域のアンバサダー役を果たす存在であり、アンバサダー達が発表した写真作品を鑑賞することが、より多くの観光者が地域を訪れることにつながると言われています。
コロナ禍による自粛生活において、観光のあり方もマイクロツーリズム、少人数旅行、アウトドア志向、ウォーキング、自転車利用などへ大きく変化しています。例えば、私共が関係して昨年末に設立しましたNPO法人「ウォークラボ札幌」では、歩く滞在交流型観光の実現を目指して、札幌の市街地を一周する約140kmの遊歩道を設定し活用する活動を始めています。この遊歩道を歩くことにより札幌の隠れた魅力にふれることができ、ルート上には多くの撮影ポイントがあります。写真を撮影することと歩くことは一体の行為であるとも言えます。
本写真展をきっかけにして、より多くの方々が北海道の各地を訪問して歩き写真を撮影することにより、地域の魅力を発見されることを願っております。今後とも、これまで以上に積極的なご参加、ご支援をお願い申し上げます。

下休場 千秋

受賞作品

グランプリ 賞金300,000円

幻霧に包まれて

<作者>masashi.oyanagi <撮影地>野付半島

【選評】ずっと見ていたくなる写真。その場所に自身も存在しているかのような幻想を抱かしてくれる力があります。そう思わせる写真は、そんなにたくさんあるわけではありません。朝霧に包まれた湖畔の水辺に佇むエゾシカ親子の穏やかな姿は、写真を見たすべての人々の気持ちさえも、とても穏やかにしてくれるようです。そして、できることであれば、同じような光景に出会えることを願って、今すぐにでもこの場所に行ってみたいと思わせてくれます。これからも、こんな素敵な光景にたくさん出会えるといいですね。グランプリ受賞、本当におめでとうございます。(菅原一剛)

準グランプリ 賞金100,000円

Angel whisper

<作者>Shinya Takeda <撮影地>旭川市江丹別町

【選評】大気中の水蒸気が昇華(凝華)することで起きる細氷(さいひょう)。和名よりもダイヤモンドダストという言葉で知られる自然現象ですね。誰もが一度は撮影してみたいと思うドラマチックな瞬間。しかし、空気と湿度、太陽が照らすタイミング、背景選びなど、いくつもの条件が重なるときにしか見ることができません。まさに「天使の囁き」。縦位置に構えた絶妙なフレーミングもお見事です。(福島晃)

優秀賞 賞金30,000円

Awakening forest

<作者>Tomoyukiaz <撮影地>三国峠(士幌町)

【選評】朝霧の名所としても知られる三国峠は、人気スポットであるが故に激戦区でもあります。松見大橋を主役としたもの、広大な景色として写したものなどなど。その中にあって本作はシンプルに作者が美しいと感じた部分を抽出した印象です。まさに引き算の法則。これは簡単なようでいて、とても難しい行為です。写真は現実世界をフレーミングすること、それを再認識させてくれた作品です。(福島晃)

銀河と滝

<作者>たか <撮影地>銀河の滝(上川町層雲峡)

【選評】有名観光地の層雲峡にある日本の滝百選にも選ばれている銀河の滝。この写真を見つめていると、背後の空に広がる銀河から、仰ぎ見る滝をまるで星が流れ落ちてくるような不思議な感覚に襲われます。観光客が記念撮影をするスポットでありながら、急峻な断崖を流れ落ちる滝と銀河を題材としたこの作品からは宇宙の深遠さを感じることができます。優秀賞にふさわしい素晴らしい作品です。(下休場千秋)

2匹の時間

<作者>makoto <撮影地>安平町

【選評】作品を見た瞬間、とても幸せな気持ちになっていました。「2匹の時間」というタイトルどおり、この場所に2匹だけの特別な時間が流れていることが伝わってきます。本来なら警戒心も強く気配ですぐに逃げ出してしまいそうなものですが、こんなにも穏やかな表情で過ごしている2匹には安平町の人たちに対する警戒心など必要ないのかもしれません。この町で素敵な「2匹の時間」に遭遇したくなりました。(髙安賢一)

シマエナガ飛翔

<作者>かぺ <撮影地>野幌森林公園(江別市)

【選評】すっかり大人気となったシマエナガ。中でも冬の真っ白なシマエナガの可愛らしさは、北海道で見られる数ある野鳥の中でも、その親しみやすさも相まって格別ですね。とくにこの写真はちょうどシマエナガが逆光気味に光を受けて、なんとも言えない表情とともに、まさに飛翔の瞬間をとらえています。その美しさも際立ち、数あるシマエナガの写真の中でも、ちょっと特別な1枚になりました。(菅原一剛)

アンヌプリにふりそそぐ

<作者>ATSU <撮影地>倶知安町

【選評】日本三百名山の1つ、標高約1,308mのニセコアンヌプリ周辺は国際的に有名なスキーリゾートです。厚く覆われた黒い雲の切れ目から残雪の山並みに向かって、太陽の光が柔らかく神秘的に降り注ぐ一瞬を撮影したこの作品には、冬のスキーシーズンに多くの観光客で賑わうニセコのイメージとはまた違った、自然の表情が表現されています。移ろう光の瞬間を印象的にとらえた優れた作品です。(下休場千秋)

入賞 賞金10,000円