北海道撮影ポイントランキング年間グランプリ展2020

「北海道撮影ポイントランキング年間グランプリ展2020」開催にあたって

平成30年8月に第1回が開催されて以来、今回で3回目の開催となります「北海道撮影ポイントランキング年間グランプリ展」は、北海道の自然の美しさや動植物の魅力を、写真を通して広く内外に発信することにより、北海道の素晴らしさを発見することを目的としています。
展示会場(札幌駅地下歩行空間ドオリHIROBA/10月23日(金)・24日(土))には、年間グランプリ1点、年間準グランプリ2点、年間優秀賞5点、入賞10点を含む135作品が展示されました。これらの作品は、令和元年7月21日から令和2年8月31日の間に、「北海道撮影ポイントランキングサイト」に投稿された2,679点の中から厳正な審査を経て選定されたものです。被写体は北海道内の風景に限られますが、応募資格はプロ、アマを問わず誰もが参加可能で、応募していただいた会員数は昨年の780名から1,058名に増加しています。いずれの作品も素晴らしい力作です。作品のレベルは確実に上がっており、それは作者の皆様のご努力の賜物であると存じます。
昨今のコロナ禍により、海外旅行を始めとして国内での移動が大きく制限され、私たちのライフスタイルや社会経済活動に大きな影響が及んでいます。
このような状況においてこそ、改めて身近な地域の魅力に気づくことができるのではないでしょうか。最近、「マイクロ・ツーリズム」という言葉が聞かれます。遠くへ出かける旅ではなく、地元の魅力を再発見する旅の重要性が唱えられています。ここに展示されている作品はいずれもが、身近に存在するにも拘わらず、普段は滅多に見ることのできない美しい風景を映し出しています。
展示作品を心ゆくまで鑑賞することにより、北海道各地における自然の美しさに触れ、その魅力を感じていただければと存じます。さらに、作品が発するメッセージを受け止めることにより、その美しさを守り育ててきた地域の人々の文化や歴史についても、思いをはせていただければ幸いです。
今後、より多くの皆様にこの「北海道撮影ポイントランキング」にご関心をお持ちいただけることを願っております。

北海道大学 観光学高等研究センター
国際広報メディア・観光学院 特任教授/下休場 千秋


<受賞作品>

グランプリ

宇宙(そら) 作者:たか

少し滲んだ星々たちの光たちが、まるで印象派の絵画でも見ているかのような、あるいは一編のおとぎ話の表紙でも見ているかのような幻想を抱きます。そして少しずつ地表を照らす太陽の光の中には、まさに日常の光を感じることが出来るのです。とにかくこの写真の中には、とても穏やかな時間が流れています。それらは作者の被写体に対するあたたかい気持ちと、一枚の写真にかけるある種の想いのようなものが、そこにあるからなのではないでしょうか。改めていい写真というのは、そんな気持ちがたくさん詰まっているものなのかもしれませんね。グランプリ受賞、おめでとうございます。

(写真家・審査委員長/菅原 一剛)


準グランプリ

Snow make 作者:masashi.oyanagi

北海道の最高峰、標高2,291mの大雪山系旭岳山頂から西側に伸びる爆裂火口、通称「地獄谷」を「姿見の池」から撮影したものです。群青色の空を背景に、逆光の太陽が照らし出す雪化粧した旭岳の山肌とそこから立ち上る噴煙の景観と、それが作品の中央を横切る池の水面線を対称軸として、水底まで透き通った池の水面に映し出されているところに、本作品の魅力があります。その高い撮影技術は言うに及ばず、全ての条件を計算し尽くし自然が示す一瞬の表情を追い求める作者の信念を感じさせてくれる作品です。改めて、写真のもつ魔力に魅せられました。

(北海道大学特任教授/下休場 千秋)


準グランプリ

折れない心 作者:長靴メタボ

写真とはある時間を1枚に閉じ込めたものです。しかし、この作品を見ているとゆっくりと流れる時間を明確に感じます。スローシャッターによって描かれた波の模様、漂流物として流れ着いた倒木、太陽によって輝く白い雲。それらがゆっくりと動き出すよう感覚に陥ります。どこにでもある風景であるにも関わらず、この場所に立って見たいと思わせることができる。作者は非常に優れた写真感覚を持っていると評価することができます。

(デジタルカメラマガジン/福島 晃)


優秀賞

閑に明ける支笏湖の朝 作者:shige

支笏湖の西岸に位置する美笛キャンプ場付近から夜明け前の白白と明るくなりつつある東の空を撮影した作品です。右手にそびえる風不死岳の遥か空高くに静かに浮かんでいる暁月が印象的です。また、手前の朽ち果てた桟橋の存在が、日の出前の湖の静寂さをより強く醸し出しています。日中は観光客で賑わう湖畔の夜明け前の静かな雰囲気が見事に表現されています。

(北海道大学特任教授/下休場 千秋)


優秀賞

朝日を浴びて朝食中です 作者:ももた

北海道の撮影ポイントで考えると、多くの方が“動物”や“自然”を思い浮かべてしまうと思います。勿論、この作品も朝日を浴びながら美味しそうに食事をしている“動物(牛)”が写っているのですが、個人的に注目したところは、その朝日が“自然”とは真逆の“人工”のビル越しだというところなのです。
このような視点での写真というのは、とても素敵ですし面白いなと感心してしまいました。あらためて、北海道大学が札幌農学校だったことを思い出し、近いうちに行ってみたくなりました。

(株式会社LCL/髙安 賢一)


優秀賞

つぶらな瞳 作者:makoto

その愛らしい姿から「雪の妖精」と呼ばれるシマエナガ。 SNSを中心にアイドル級の人気被写体となっています。真っ白いまん丸の体に黒くてつぶらな瞳。真剣に写真と向き合っている審査員からも思わず笑みが溢れてしまいました。背景の枝が被写体と重ならないようにして、視線を真っ直ぐに捉える。ポートレートと通じる魅了を本作品から感じました。

(デジタルカメラマガジン/福島 晃)


優秀賞

Explosion 作者:Shinya Takeda

個人的にも、いつか見てみたいとずっと願っている“ダイヤモンドダスト・サンピラー”。まさに天から降り注ぐ光が、神秘的に具現化したその光景はとても写真的な世界。今回の写真は、まさにそんな光が、まさに天空から降り注ぐ様子を写し出しています。その眼差しが、この写真を特別なものにしているのではないでしょうか。

(写真家・審査委員長/菅原 一剛)


優秀賞

雪山照らして 作者:Tomoyukiaz

この作品の魅力は手前に見えるダケカンバと、雲が沸き立つ空によって、主役である十勝岳連峰をサンドイッチしたこと。陽に照らされて、雪化粧をまとった頂上付近がハ イライトに輝くタイミングをしっかりと狙っているように、構図のバランスと撮影時間のタイミング、その両者をしっかりと準備したことが作品性を昇華させています。

(デジタルカメラマガジン/福島 晃)


入賞

静寂 作者:のりくん

七福神の漁業の神である恵比寿さまと、農業の神である大黒天さまの名の付いた奇岩。2つが並ぶ姿を写した写真は数多く見られますが、今回の作品は「えびす岩」を主役に画面の中心に添えています。ローアングルに構えることで奇岩の背景を空にしてその姿を克明に描き、スローシャッターで波を優しく表現する手法が見事にマッチしています。

(デジタルカメラマガジン/福島 晃)


入賞

DEER FIVE 作者:Wildfox

北海道を代表する大型哺乳類の一種、エゾシカの雄5頭を近距離で撮影した本作品からは、野生動物への親近感を感じると共に、その個体数の増加に伴い引き起こされている農林業や自然植生の被害と狩猟・駆除の問題にも思いをはせることができます。野生動物写真を撮影されてきた作者の生き物に対する強い愛情が感じられます。

(北海道大学特任教授/下休場 千秋)


入賞

green reflection 作者:すぎやん

タイトル通りの鮮やかな“緑の反射”に惹きつけられて一瞬で行ってみたいと感じてしまいました。この緑の水面の下には“コバルトブルー”が隠れているとこを想像するだけでとても高揚してきます。

(株式会社LCL/髙安 賢一)


入賞

流氷と渡り鳥 作者:rinsei

日没前後の淡い光に染まるオホーツク海の流氷と空を飛ぶ一群の渡り鳥を主題とした本作品を観ると、北国の郷愁を誘う不思議な感覚に襲われます。冬に純白の雄大な流氷の景観が楽しめる野取岬ですが、敢えて夕暮れ時の流氷と渡り鳥を捉えた作者の意図が強く伝わってきます。

(北海道大学特任教授/下休場 千秋)


入賞

霜華と鴨 作者:yukko

冬の雪の中に漂う鴨たちのすがたは、夏の彼らとは違う鳥に見えるほど神秘的です。そんな鴨たちが、ひとつの美しい光景として写し出されていることがすてきです。そしていつの日か、この冬の早朝の“鳥沼公園”に、是非行ってみたいと思いました。

(写真家・審査委員長/菅原 一剛)


入賞

love 作者:eiji

この作品は様々なことを考えながらずっと見ていられて、心が穏やかになってとても癒やされました。オシドリは雄雌が番で一緒にいて離れないということは“おしどり夫婦”の語源そして聞いてはいましたが、こんなにも雄の優しそうな仕草や雌の嬉しそうな表情を見てしまうと本当に仲が良いんだなと感じました。
タイトルにもなっている“love”なのであろう瞬間を逃さず撮影できた素晴らしい作品だと思います。

(株式会社LCL/髙安 賢一)


入賞

朝日に照らされる麦稈ロール 作者:boi

とても北海道らしい光景。朝の凜とした空気の中に朝日が射し込み、なんとも清らかな世界が写し出されています。何よりも、この写真のように自然と人々の世界が交錯する世界の美しさは、よりその光景をあたたかいものとして感じることが出来ます。

(写真家・審査委員長/菅原 一剛)


入賞

夕焼け色に染められて 作者:hiro

世界を赤く染めながら、暮れ泥む光の世界を、少しだけゆっくりとした露光で捉えたことによって、まさにその光が染み渡る印象が、よりゆったりと伝わってきます。そんなゆっくりとした眼差しは、時としてすてきな世界を、より大切な世界として見せてくれるのかもしれませんね。

(写真家・審査委員長/菅原 一剛)


入賞

光のシャワー 作者:taki

川底まで届いていそうな神々しい“光芒”により、苔の深緑も際立ってとても美しい作品だと思いました。まだ行ったことがなかったので、B’zの曲を聴きながら、この“光のシャワー”を浴びてこようと思います。

(株式会社LCL/髙安 賢一)


入賞

歌志内雲海  作者:kanta

神威岳を包み込むようにして雲海をまとう姿は、美しく幻想的であるのと同時に、 田園風景を守るような優しさを感じます。この作品の素晴らしさは、広大な景色を横位置ではなく、あえて縦位置にしたことだと思います。放射冷却によって生まれた雲海、広大な空を大きく取り入れることで、大自然の強さと優しさの2つを同居させているように感じます。

(デジタルカメラマガジン/福島 晃)